選手インタビュー

小谷実可子さん 小谷実可子さん シンクロナイズドスイミング ソウル大会出場 オリンピック

【何かを求めるならば努力をすべき】

辛:小谷さんは現役選手時代から引退後もずっとオリンピックと縁が深い存在として活動をされてきているわけですが、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催することが決まったいま、今後に向けた展望をどうお考えですか?また、どんな活動に取り組んでいきたいと思っていますか?

小谷:言いにくいのですが、実は私のスタンスとして、今後の展望などの大きなことを何か考えているということはないんです。IOCアスリート委員になったのも、OCA(アジアオリンピック評議会)のアスリート委員長になったのも、たまたま前任の方が事情で辞められたときに私が現役を引退してJOCの嘱託職員だったから呼ばれたものなんです。長野五輪の招致活動のときも、バルセロナ五輪前の休養期間中にJOCで広報担当アドバイザリースタッフとして広報のお仕事をしていたこともあって呼ばれただけで、自分からこういう手伝いをしたいとか、これをやりたいと思ってやってきたことが何一つなくて、その代わり、どんな会議でもどんな役目でも、頼まれて自分が「やるぞ」と決めたからには絶対に頼んでよかったと言ってもらえる仕事をしたいという心構えを持って、毎回お仕事をしていたのが繋がっているだけですね。ですから、これからもいままで同様に「これをしたい」というのはないんだけれども、縁があったりタイミングがあったりして「手伝え」と言われて、自分が出来ることだと思えば積極的に手伝っていきたいというスタンスは変わりません。子育てとのバランスを見ながらですけれど。
長野五輪の前年に国連総会でスピーチをすることになったのも、長野五輪の調整委員会の委員に急遽なって、右も左も分からない世界でどうしたらいいのかということで当時の猪谷IOC委員に教えを請いにいったら、「女性だから明るい色の服を着て、日本の女性にありがちなただ黙って座っているのではなく、とにかく積極的に発言しなさい」とアドバイスしていただいたので、いつも明るい色の服を着て、ひたすら気がついたことを言っていたら、たまたまIOCの国際部長だった方が「日本女性なのに積極的に発言している」と目に留めてくれてお声がかかり、国連総会に行かせてくれたということもありましたね。アドバイス通りにやっていることでお声をいただいたり、お仕事をさせていただいたりしているうちに色んなことが繋がったという感じです。

辛:スポーツ界では小谷さんのように活躍している女性の方たちがたくさんいますが、小谷さんはその中でどんなポジションで活動していきたいですか?

小谷:長女です!ビッグシスターでいたいですね。いま、JOCでご一緒に活動している荒木田(裕子)さんには今後、ゴットマザーになっていただき、逆に私がアスリートの相談役をやれたらいいですね。結婚も育児も経験してスポーツ振興普及活動をやり、マスコミの仕事もさせていただくなど、いろんな分野を少しずつ経験してきたことを伝えられたらいいですね。4回も招致活動に携わらせてもらったことは非常に貴重なことだしありがたいことで頑張ってきたつもりなんですが、4回も同じ人が呼ばれてしまうことはある意味、人材不足の表れなので、英語ができて海外にも出られる人を増やしていかないといけないと、私もJOCの人たちも思っています。そんなときに、フェンシングの太田雄貴くんがアスリート代表として頑張って、スポーツムーブメントやスポーツ政治の世界に興味を持って努力して、英語も頑張って練習して、あのように大きな立派な仕事を成し遂げたことは、「長女」としては非常に目を細めてみているところで、今後も続いて欲しいですね。

辛:最近は、これまではなかった異種競技のアスリートやオリンピアンの方たちの横のつながりが少しずつ増えてきたように思いますが、いかがでしょうか?

小谷:そうらしいですね。ナショナルトレーニングセンター(トレセン)ができたことで異種間交流がすごく盛んになり、いまはメールというものがあって、トレセンで会ってそこでメール交換したら友達になるんですよ。それがすごく大きいと聞きます。

辛:いろんな立場やいろんな人脈を持っている小谷さんは様々な活動をされていると思いますが、現在はどんな活動を主にしていますか?

小谷:本業は2児の母なので、12歳(中1)と7歳(小1)の娘をまだまだ育てなければいけないですし、引退してからずっとやっているシンクロ教室を、いまは品川プリンスホテルの中でやっています。年末と春夏にはその発表会があるので、招致活動が終わってからは頭の中はその発表会のことでいっぱいですね。婦人のシンクロ教室もやっています。それから人生の幅を広げたり、思いを発信したりするために、文化放送でラジオのコーナーを週一回持たせていただいています。スポーツやオリンピックの話をしたり、スポーツ界の方にお話しを聞いたり、大変よい勉強の場になっています。

辛:お休みもない感じですか?

小谷:そうですね。去年の春から年末までは何もなかった日というのは1日もなかったですね。IOC総会のあったアルゼンチンから帰国してから自由な時間が作れると思っていましたが、長い間留守をした分年内は忙しく年が明けてからやっと自分の時間が持てるようになりました。

辛:小谷さんはどんな性格ですか?

小谷:選手のときに“努力すれば神様は裏切らない”ということを身をもって経験してしまっているので、何かを求めるならば努力をしなくちゃいけないということが染み付いています。それでもってこの長い期間に招致活動に携わっていると、この何年かは招致という勝負に向けて、日々清く正しく努力して生きていかなければならないという自分へのプレッシャーがすごくあって、家でボーっとする時間があっても何か資料を読まなきゃとか、この間にやり溜めている家事をやっておかなきゃとかという、“何かをやっておかなければいけない症候群”が続いているので、これを何とかしたいですね。

辛:活動的に忙しいのにそれを微塵も見せない小谷さんはぜんぜん変わらないですね。はたから見るとタフでエネルギッシュに映ります。さきほども、常に笑顔を見せるようにしているとおっしゃっていましたが…。

小谷:ばたばたしてイライラすることはありますが、疲れたということはないですね。

辛:この忙しさの中で健康管理に気をつけていることは何ですか?

小谷:寝ることですね。無駄な遅寝はしないです。それから、余裕があれば泳ぎに行きます。頭がいっぱいいっぱいになっているときに泳ぐと整いますね。さらに時間とお金があればマッサージに行きます。マッサージオタクなので(笑)。

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