選手インタビュー

上村春樹さん 上村春樹さん 柔道 1976年モントリオール

あれから36年。間もなく2012年ロンドンオリンピックが開幕する。が、特に今回は男子柔道界のタレント不足が懸念されている。オリンピック前哨戦といわれた2011年の世界選手権(パリ)では66㎏以下級で海老沼匡、73㎏以下級で中矢力が金メダルを獲得したが、重量級に至ってはメダルなしに終わった。上村のような「柔よく剛を制する」タイプはいつ出現するのか。日本中が本家復活に期待している。

上村:「日本柔道界が最も苦しかったのが、金メダル1個に終わった1988年ソウルオリンピックでした。そこで敗因を分析したところ、日本人の特性を生かした柔道を知らず知らずのうちに、疎かにしていたことに思い当たった。外国人と筋力の強さだけで勝負したら勝てるわけがない。そこで、先人たちが説いた技をいかに使いこなして戦える選手を作るかに着目し、もう1回技に特化しようと方針を定めたんです。その結果、男女合わせた金メダルがバルセロナオリンピックでは2個、アトランタオリンピックで3個、シドニーオリンピックで4個、アテネオリンピックで8個になった。北京オリンピックは4個に下がったが、決して悪い数字ではない。今は残念ながら超トップはいませんが、女子の軽い方の階級は誰を出しても優勝できる選手層がある。男子も2009年世界選手権(ロッテルダム)で日本柔道史上初めての金メダルなしとなったが、再浮上してきた。今回は全体で4~6個の金を取れるところまで来ています。私は7個取りなさいと言ってますけどね」

日本代表選手団団長としては、柔道のみならず、全競技に目を配らないといけない。ロンドンオリンピックは日本が初めてオリンピックに出場してから100周年の節目。昨年3月の東日本大震災発生もあり、トップアスリートたちが被災地に元気と勇気を届けることが大切だ。さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピック招致のムードを高めることも必要になる。この3つのテーマを果たすためにも「15~18の金メダル獲得が目標」と上村は強調する。

上村:「私が選手たちに言いたいのは、『自分の持っている力を出し切れば必ず、結果はついてくる』ということ。そして試合に向かう時は、自分を信じ、自分が一番速い、強いという自信を持って競技すれば、必ず勝てると信じています。そのための環境、雰囲気づくりが私たちの仕事。日本で応援してくれる方々にいい報告をしたいですね」

~上村春樹さん インタビュー 完~
(文中敬称略)
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ゲストプロフィール

上村春樹さん
上村 春樹(うえむら はるき)
1951年2月14日熊本県生まれ。八代東高校から明治大学に進み、旭化成に入社した社会人1年目に初めて全日本を制覇、1975年には世界選手権無差別優勝、翌年のモントリオールオリンピックでも無差別で金メダル獲得。現在は第5代講道館長などを務める。
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