選手インタビュー

冨田正一さん 冨田正一さん アイスホッケー 1960年スコーバレー

【オリンピックで為すべきこと】

広報スタッフ:世界の中でいろいろご活躍されてきた冨田さんですが、オリンピック選手としては1回のご経験と解説のお仕事などでの6大会と、長いオリンピックとの関わりを通じまして、オリンピックの価値とか意義についてはどのようなお考えでしょうか。

冨田:チャレンジしている自分の能力が、世界でどのレベルにあるのかを知る、世界に対するチャレンジの場。世界中の選手たちが最高の環境の中でチャレンジする、その姿が人に感動や感激を与えますし、そういうイベントに世界の人たちがいろんな形で支援していく。経済ありきではなくて、スポーツを尊ぶ人達が一生懸命チャレンジしている若者に世界的舞台を与えようというのが、オリンピックだと思います。スポーツは演劇や芸術と一緒で、見る人や関心を持つ人に感動や感激を与えれば価値があると思います。でも失望を与えたら罪だと思いますね。ですから失望を与えるようなオリンピックには、してはいけないと思います。

広報スタッフ:今、おっしゃった失望の意味合いというのは?

冨田:選手の心の持ち方だと思いますね。やらされてやるような、行かされて行くような選手では人に感動や感激を与えられないと思います。私はたくさんのプロを見ています。結果を残し、人を喜ばせている選手がプロだろうと思います。

広報スタッフ:それは、例えばNHLのような立場的なプロということだけではなくて、取り組み方としてのプロということですか。

冨田:選手の中には、お金が優先でオリンピックには出たくないという人もいますよ。そこで怪我をしたら損だとか。でも、すごくレベルの高い選手がオリンピックに出たいというのは、やはり世界の中で、五輪の下で自分がやってきたものをどう評価されるかを知りたいからだろうと。それもチャレンジだと思います。

広報スタッフ:冨田さんの言うオリンピックというのは、チャレンジの場であり世界を見ることですか。

冨田:世界に知られる、世界を見る。オリンピックは世界に友人も作れる、それから自分のチャレンジしたものを評価してもらえる。こんな良い場はないだろうと思います。オリンピックがあることがありがたい、その場に出られることもありがたい。

広報スタッフ:これから、その素晴らしいオリンピックという場に出ていこうとする選手に対して、最後にもう一言アドバイスがあればお願い致します。

冨田:私は、自分が愛したスポーツは自分ができるベストを尽くしなさいと言いたい。ベストを尽くせば後悔しないでしょうし、ベストを尽くした結果、オリンピックのような世界中の人が集まる場で自分の人生を豊かにするための経験と友人を作ることができると。そしてもう一つは、「フェアプレイ・アンド・リスペクト(敬い)」という精神を身につけてほしい。コーチにも親にも社会にも国にも、こういうことができることに感謝の気持ちを持ってもらいたい。コーチたちにも指導をありがとう、試合の相手は敵ですけれども相手がいなくちゃ試合はできないのですから、終わったら握手をしてリスペクトすること、そしてフェアプレイをするということ。「フェアプレイ・アンド・リスペクト」というのは、今、国際アイスホッケー連盟のスローガンにもなっています。次の世代を担っていく若い人達は、「どうもありがとう」という気持ちでチャレンジして下さい。

~冨田正一さん インタビュー 完~
(インタビュアー:広報スタッフ)
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ゲストプロフィール

冨田正一さん
冨田 正一(とみた しょういち)
1936年1月1日 東京生まれ 
少年時代に伝説のスウェーデンのFWスベン・ヨハンソン選手と出会ってアイスホッケーを始める。
選手として、13シーズンにわたりゴールキーパーとして活躍。
日本代表として第8回 スコーバレー大会(1960)、
IIHF世界選手権(1962)に出場。
1978年より国際アイスホッケー連盟理事に就任、現在は国際アイスホッケー連盟副会長等を務める。
2002年に長野オリンピックの成功が認められ、国際オリンピック協会より「Olympic Order」銀賞の表彰を受けた。
2003年よりOAJ代議員に就任。
2006年には、アイスホッケー界への長年の貢献が高く評価され、国際アイスホッケー連盟の殿堂入り。日本からの殿堂入りは3人目。
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