選手インタビュー

中村佳央さん 中村行成さん 中村兼三さんインタビュー

中村行成さん 中村行成さん 柔道 1996年アトランタ 2000年シドニー

【目標を持つことが最も大事】

広報スタッフ:兼三さんは、ジュニア世代を教える立場はいかがですか。

兼三:会社の中とまた全然違ってきますから、強さだけではなくてしつけのような…普通に人間として最低限の社会で通用するぐらいのことはやらせないといけないと思っています。いくら強いといっても柔道の現役を終わったあとが大変ですので、そういうところも指導しないといけないし。会社ではコーチですが、若いジュニアのほうは自分を先生と思って見ますから、私の言った一言がかなり影響してきます。普段、選手たちは中学や高校の先生が厳しくやっていますので、言ったことはちゃんと聞くのですが、やっぱり中学、高校生というのは常に言われている状況ですので、その時「はい」と言ってもまた同じことの繰り返しになるんですよね。身についていないというか。だから、本当に自分で悩んで質問に来る分にはいいのですけれども、すぐ言っていいところと、気づかせなければいけないところというのが。

広報スタッフ:学校の指導者の先生と方針が違ったりすることはあるのでしょうか。

兼三:それは、どっちがいいかということではなく、「あの先生にはこう言われたのだけれども、自分はこっちがいいな」と思えればいいんです。自分で考えてやる目を持っている選手はいいのでしょうが、全部が全部言われたからといってやっていると、なかなか成長しないですよね。

佳央:私たちは成長させる方向に持っていく立場なので、柔道教室でも「俺はこう教えるけれど、選ぶのはあなただよ。いいほうをやりなさい。自分で考えて、自分のオリジナルを作りなさい。自分の体型とか、組み手とかで全部違うから、自分がこう思う方向がいいのではないかと思ったらそれをやればいい。ヒントだけ教えているのだから」と言いますが、兼三のジュニアの場合もこんなふうに指導するやり方だと思います。

行成:特に小さい時はそうですよね。指導者が「こうしなさい」と言っても、その形にはまったら面白くない。それに自覚して発言しないと、子供にこれが正しいのだと言っても、まだ子供なんて可能性がでっかいのだからどんどん伸びてくるだろうし、小さい時なんて特に厳しくやったら「もう嫌だ」と言ってほかの競技に行ったりするでしょうし、まず楽しくやらなければね。面白いところから入ってだんだん厳しくしていくとか、そういった工夫も必要です。子供たちにいっぱい柔道をやってもらって、柔道人口を少しでも増やさないと。

広報スタッフ:柔道をやってもらいたい子供たちとか、始めている子供たちに柔道を続けるためのアドバイス、メッセージを一言ずついただきたいのですが。

佳央:まずは目標だと思うんですが、小学校の時は「メダルが欲しい」とか、「帯の色が早く上の段になりたい」とか、そういう小さな目標をどんどんクリアして、大きくしていってほしいですね。そうすると楽しくなるので。楽しい中にも厳しさもありますけれど、達成感をどんどん道場の先生や指導者が増やしてやって、達成することによってもっとやりたいと思うことになるので、そういうのを工夫してやってほしいなと思います。楽しい中で厳しさも取り入れながらやっていけば柔道を続けられるし、ほかのスポーツも続けられると思います。諦めてしまったらそこで終わりなので、決して諦めず、目標を持っていけばやり続けられると思います。

行成:一番大きいのは今のですね、目標がないと実力がつかないですし。あと、嫌々やっていたらやっぱりだめだと思うので、楽しくやって、さらに練習はちゃんと厳しく、自分の「強くなりたい」という意思が大切です。それを本当に思えるか、思えないかですね。諦めたらすぐやめられるし、本当に「強くなりたい」という目標を作って、これを達成しようと夢中になって集中してやっていたら、進歩すると思います。特に柔道をやる環境としては、世界で一番日本がいい。これだけ指導者がいて、これだけ道場だのというのがある国はほかにないですからね。ほかの国なんて練習相手も少ないですから、そういったことも考えて環境に甘えずにやれば、成長すると思います。日本は期待が大きいし、負ければ何を言われるかわからないですが、その中で勝つことの喜びを自分が一番感じられると思うのです。プレッシャーの中で勝った時の喜びというのがありますから。

広報スタッフ:そのプレッシャーに勝つために、一番大事なことは何でしょう。

行成:練習しかないと思います。自信がないのは、練習で自分が一番よくわかっているわけですから、どこかを手を抜いたと思ったらそこから不安が出てくるし、「やるだけやった、もうこれ以上は無理だ」というところまでやれば、「あとは試合だけだ」と開き直れるのです。そういった時は「勝てるよ。世界の中で俺が一番やった」という自信が自然に出てくるのです。そこは練習量だと思います、何だかんだいっても。センスとか、何とかというよりも、やっぱりやったやつが最後は勝ちますよ。

広報スタッフ:分かりました。兼三さんからも子供たちに対して一言お願いします。

兼三:試合に勝てない選手がいたら、勝つまでやってもらいたいですね。一生懸命やれば自分のいいところ、悪いところがいろいろわかってきますので、とにかく一生懸命やってもらいたいです。一生懸命やることを学べば、それは柔道だけではなくていろいろなことに通用しますし。それから、柔道を続けていくうえでは楽しんで。きついばかりでは続きませんし、でも、きついだけの時に耐えられる力がないと、そこからチャンピオンになるために上に上がっていけないので、きついことを楽しむというか、きついことをやったという充実感を楽しめば必ずいい結果が出ると思うので。「ここまではきつくても頑張ろう」とか、「こうなれるまで頑張ろう」というしっかりした目標があればきつくても頑張れます。

佳央:あとはやっぱりいい仲間とか、いい指導者がいたら、助けてくれますよ。試合はみんな1人でやっていますが、いい先生、いい友達、なおかつ目標も持って、きついところを我慢できる練習量とか、そういうものが組み合わさった時に勝てるのだと思います。

兼三:そうなるためには自分がいい人になっていないといけないので、自分を磨くということが大事だと思います。

行成:現役をやめて1年間イギリスにJOCの海外研修で行って、その1年間を終えてから特別コーチという形で。イギリスでは、午前中は英語学校に通って、午後はエジンバラの柔道クラブに行って一緒に練習しました。一番は英語の勉強で、全柔連からの指示でヨーロッパを回ったり、国際交流です。自分でチケットを取って、自分でやるんですから、いろいろな英語の勉強にはなりますよね。経験ですよ、その1年間は。

広報スタッフ:長時間にわたり、ありがとうございました。

~中村佳央さん、中村行成さん、中村兼三さん インタビュー 完~
(インタビュアー・編集:広報スタッフ)
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ゲストプロフィール

中村佳央さん
中村 佳央(なかむら よしお)
1970年10月22日生まれ。福岡県出身。旭化成柔道部監督。東海大学卒業後、旭化成に入社し、1996年アトランタオリンピック95kg級に出場。現在は指導者として、後進の育成にあたっている。本年9月にブラジルで開催される世界選手権には、所属チームより2名の選手を送り出す。
中村行成さん
中村 行成(なかむら ゆきまさ)
1972年8月28日生まれ。福岡県出身。JOC専任コーチ、旭化成柔道部コーチ。東海大学卒業後、旭化成に入社し、1996年アトランタオリンピック65kg級銀メダル、2000年シドニーオリンピック66kg級出場。JOCの海外研修を経て、ナショナルチームの選手を指導している。
中村兼三さん
中村 兼三 (なかむら けんぞう
1973年10月18日生まれ。福岡県出身。全日本柔道連盟男子ジュニアコーチ、旭化成柔道部コーチ。東海大学卒業後、旭化成に入社し、1996年アトランタオリンピック71kg級で金メダルを獲得、2000年シドニーオリンピックでは73kg級に出場。現在は、旭化成に籍を置きながら、ジュニア選手の育成に尽力している。
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