選手インタビュー

中村佳央さん 中村行成さん 中村兼三さんインタビュー

中村佳央さん 中村佳央さん 柔道 1996年アトランタ

【3人とも指導の立場に】

広報スタッフ:今は皆さん指導者という立場になられているのですけれども、オリンピックで経験したこととか、感じたことで、今のご自分の立場に生きているものはありますか。

佳央:もちろん経験というのは選手にとってすごくプラスになると思うのですが、これも与えすぎたら…努力しないのに言ってもだめなわけですよ、努力した人にしかわからないといいますか。本当にやり込んで悩んでいる選手に言うと、響いて返ってきます。今の選手は、ビデオやコンピュータも発達しているので情報もどんどん入るのですが、入りすぎて受け止め方が軽いんです。昔みたいに本当に欲しい情報があっても入らなかった時代からすると、情報が多すぎて鈍感になっているところがあるので、時代に合った教え方をしないと。例えば、昔だと根性論で「練習中に水なんか飲むんじゃない」と言っていましたが、今は科学的に飲まないといけないということになっている。こっちも新しいことは取り入れますし、選手も取り入れているのでしょうが、取り入れたら取り入れたで「飲まなければいけないんだ」と選手は言ってくるわけです。練習中にだらだら水を飲んでもダメなわけで、その微妙な調整ですよね。自分たちが判断して逐一言わないと、楽なほう、楽なほうにいってしまって、勝てなくなっていくわけです。情報も、一番必要な時に教えてやるのと、聞きたくもない時に言うのでは全然違うわけです。その辺のタイミングとか、判断が難しいです。

広報スタッフ:佳央さんが今教えている対象は旭化成の柔道部ですが、年齢的にはどのくらいですか。

佳央:大学を卒業して入ってくるので、23歳から30歳少し過ぎたくらいの間隔です。行成のほうは日本のトップクラス、兼三の場合は全日本のジュニアも教えていますから、いろいろな層があるので、これも勉強になりますね。お互いに情報交換できますので。2人ともうちのコーチですけれど、行成は全日本のほうがメインで出向で出ています。兼三の場合はこっちに住んで、うちをメインにやってもらっています。それでもだいぶ全柔連のジュニアの合宿に行っていますね。

広報スタッフ:指導ということはどんな仕事ですか。

佳央:いや、本当にきついですよ。自分と家族を犠牲にしないと選手はついてこないですし、選手の時ほど自分勝手に楽できるということはないですね。うちは20人の部員がいるのですが、全員を見て、体調管理から、調子から、どうやったら強くなるのか、弱いところはどこか、課題はどうやったら解決できるのか。自分がわかっていても選手もわかっていないと伸びないですし、それを口を酸っぱくして指導して、なおかつ会社でも戦力になり、使える人間にしなければいけない。言うだけではダメで、自分が夜遅くまで酒を飲みに行ったり、練習に遅れて来るようではダメなので、自分にもプレッシャーを与えないといけない。スカウトもしっかりしないといけないですし、土日も試合と合宿でほとんどいないですし、子供や家族と接する時間もなくて…本当に犠牲を払わないと監督はできないと思います。いい仕事だとは思わないですね、好きでないとできないです(笑)。

広報スタッフ:今の監督としての夢というか、目標というのはどんなものですか。

佳央:夢はやっぱり世界に通用する選手を自分が育てて、金メダルを取らせたいということです。大学からいい選手を預かって育てているので、実業団に来て実力が落ちたと言われないようにしっかり伸ばしてやりたいという気持ちがありますね。オリンピック、世界選手権で内柴正人と泉浩が金メダルを取ってくれたので、もっと全日本選手権のチャンピオンを育てたいという夢がありますね。

広報スタッフ:行成さんのほうは全日本のトップクラスの指導をされているということなのですが、指導者という立場になったのは現役をやめてすぐですか。

行成:現役をやめて1年間イギリスにJOCの海外研修で行って、その1年間を終えてから特別コーチという形で。イギリスでは、午前中は英語学校に通って、午後はエジンバラの柔道クラブに行って一緒に練習しました。一番は英語の勉強で、全柔連からの指示でヨーロッパを回ったり、国際交流です。自分でチケットを取って、自分でやるんですから、いろいろな英語の勉強にはなりますよね。経験ですよ、その1年間は。

広報スタッフ:トップのクラスの選手を指導するということの難しさとか、面白さはありますか。

行成:僕は現役を引退してまだ3~4年なので、ベテランの選手から見ると一緒に戦っていたメンバーであって、先生とかコーチというよりは先輩というところが大きいと思うのです。なので、年が離れている先生にはあまり聞けないようなこともいろいろと聞かれたりします。そんな中で、急にコーチという立場にころっと変わってアドバイスしたらいいのかとか、本当に僕の経験だけでしゃべっていいのかとか、指導者になってそんなに年数もたっていないし、正直言ってまだまだ勉強が足りないところもあるので、今は長い間の経験を活かしてアドバイスしています。本当に経験したことがないというぐらいのトップも味わったし、負けてどん底も見たし、長い間現役を続けられたというところもありますし、いろいろなことでアドバイスできるので。選手の気持ちが分かるので、それを自分と置き換えて、今はこういうふうに思っているんだろうなというところでアドバイスをします。僕もいろいろなことを勉強して、これから本当にもっともっと選手とコミュニケーションを取って、選手の性格をいろいろわかって、自分なりに考えて、それぞれの選手に合った感じで指導していければいいなと思っています。難しいです、まだまだ勉強の最中なので。

兼三:下積み時代ですよ(笑)。

行成:あとは、所属は旭化成から出ているわけですが、全日本のコーチとしての立場を考えて、柔道界全部を平等に見るという気持ちも持っておかないといけないなと思っています。やっぱり誰もが日本代表という一つしかない枠を目指して、へとへとになっていつも練習して、オリンピック、世界選手権の代表というのを一生懸命狙っているわけですから、そういう目を忘れないで、平等にというのが大切だと思います。

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