選手インタビュー

鈴木大地さん 森田智己さん 鈴木大地さん 競技(背泳ぎ) 1984年ロサンゼルス 1988年ソウル 森田智己さん 競技(背泳ぎ) 2004年アテネ

【“オリンピック”という特別な場】

高橋:オリンピックでの経験が与えてくれたものとか、オリンピックとはご自身にとってどのようなものなのかということをお話しいただきたいのですけど、どうでしょう。

鈴木:我々の時代だと、今は2年に一度やっている世界選手権も4年に一度だったし、オリンピックを中心に4年というのが流れていて、オリンピックで初めて4年に一度注目されるという時代だった。オリンピックで優勝しない限り、世間に自分の名前を知らしめることはできなかった。そういう意味では、オリンピックというのは特別なものだったし、オリンピックがあったからこれだけ頑張れたというのはありますね。
今は世界大会が頻繁に開かれていて、いい経験にはなっているんじゃないかな、みんな。だから、世界大会を特別にも思わず、変に意識しなくなっただろうし。

森田:僕はオリンピックに行く前に、「オリンピックはどんなんですか」と大地さんにも聞いたし、セントラルの稲田法子選手にも聞いたんですけど、二人とも「凄いよ」としか言ってくれなかった。

鈴木:多分5秒ぐらいしか時間がなかったんじゃない(笑)。

森田:凄いよって。それで、分かんねえよと思って(笑)。もっと具体的な何かないのかよと。でも、行って、何で「凄いよ」としか答えないのかなというのが分かりました。これは凄いわと(笑)。これはやはり行かなきゃだめだし、なおかつ勝負しなきゃオリンピックは楽しめないというのが分かった。アテネの時はたまたまメダルを取れたんですけど、またあの舞台に行きたいなって、また勝負したいなっていう気持ちがほかの世界大会とは全く違うんですよね。
今年は世界選手権がある。そして、来年は北京。オリンピックはとにかく頑張りたいというか、ほかの試合に出られなくてもオリンピックだけには出たい、みたいな。

鈴木:それはそうだな。

森田:引退してもまたオリンピックを目指す気持ちというのは、やはり出た人にしか分からないものだと思うし、とにかく凄いとしか言えない(笑)。

高橋:先ほど、例えば国内の大会にしろ、世界大会にしろ、オリンピックにしろ、自分の気持ちは同じ、ベストを尽くすということで何となく、ほかの大会とオリンピックはそんなに違わないのかなという印象を受けたんですけど、やはりオリンピックは特別だと。

森田:頑張るのは一緒なんだけど…。

高橋:鈴木さんはどうですか。

鈴木:僕は世界選手権は出ていないんだ。4年に一度だったし、ちょうど腰痛で死んでいたね。ほかはユニバーシアードもアジア大会もチャンピオンになったし、あとはオリンピックだけだと思っていたかな。やはり、ほかの大会で失敗しても、オリンピックのための失敗であり準備の一つと考えられる。だけど、オリンピックで失敗はしたくないと思うよね。やはり次のオリンピックというと4年後になってしまうし、大きな4年だよね。オリンピックでは、一番いいものを出したいと思うよね。

高橋:森田選手が感じる、感動したとか、心がどきどきしたとか、具体的には言えないかもしれないけれど、これが凄いなということを教えていただけませんか。

森田:簡単に言うと、気持ちいいんです。泳ぐ前から、ほかの世界大会では得られない興奮がある。入場して、一人一人の名前が呼ばれていくじゃないですか。応援が体を突き抜けるんです。鳥肌が立つ。

高橋:レースの状況ですね。鈴木さんもそうでしたか?

鈴木:テレビで「オリンピックで頑張る」と言った次の日に、渋谷を歩いていたら、女の子が手を振っているんだよ。僕の後ろに誰かいるのかなと思ったら、僕に手を振ってて「見ました。頑張ってください」みたいなことを言っているわけ。これは凄いなと。僕たちはずっと頑張っているわけだけど、オリンピック選手として流れた映像でみんな感激を受けてしまって。僕らもオリンピックを意識はしているけれど、より相手のほうが影響を受けているんじゃないでしょうか。

高橋:マスコミの影響も凄くあるということですよね。

鈴木:特に我々の時代ぐらいから変わってきたと思うんだよね。

高橋:今は本当に凄いですもんね。鈴木さんの時も凄かったですけど。

鈴木:アイドルだもんね、今。ちょうど僕らの時、体操の池谷・西川選手がいたりして、スポーツ選手がアイドル化してきた時代だった。

高橋:やはりオリンピックに出る前と出た後では、あるいは出ると決まってから、マスコミの対応というのは凄かったですか。

鈴木:「頑張ります」というのがテレビが流れた時点で凄かったもんね。変わったよね。そういうオリンピックの力っていうのはある。それによって、また、「頑張らなきゃ」と僕は思いましたよ。気が引き締まりますしね。

高橋:でも今、だいぶそれが進んでしまって、出ただけだとマスコミも来ないとか言いますよね。結局、最後の結果がメダルじゃないと。

鈴木:今、レベルがどんどん上がっているということだよね、求めるほうも。いいことなんじゃないかな。

高橋:メダルを取らないと無視されちゃうようなところがあるから、じゃあ頑張ってメダルを取ろうというモチベーションの増加になるという、いい循環になればいいんですけど。メダルを取られてから、マスコミとかの対応は変わりましたか。

鈴木:それはやはり変わりますよね。僕はソウルオリンピックから帰ってきて、とにかく人が凄くて。池谷君らも一緒に帰ってきていて、何だこの、すずなりの人は…と初めは理解できなくて。ロサンゼルスオリンピックとソウルオリンピックからの違いは大きかったね。時差のないリアルタイムでのテレビ放映だったし、オリンピックが凄く身近になったし、凄く応援してくれて。今じゃ当然だろうけど、想像もつかなかった。選手村では、日本がどれだけ騒いでいるかとか分からないから、成田空港でびっくりしましたね。

森田:騒いでいるかどうかというのは分からないですよね。でも、帰りの飛行機で新聞を見たら、全部がリレーのメダルを取った記事だったんですよ。本当に凄いなと思って。そして、帰って、ゲートから出たら…凄いですよね。

高橋:鈴木さんの時は集中したから、成田は凄かったでしょうね。森田さんたちの時は競技が分散していたから…。

鈴木:金が16個もあったしね。アテネの時、解説のところにいた僕らがけっこう「おめでとう」とかって言われるのね。自分が取ったかのように、本当にこっちも嬉しいし、日本として取ったんだなと。何か、自分が出たような気になっちゃう。本当にみんなが祝福してくれて、やはり世界的なイベントだしオリンピックを知らない人はいないからね、どんな国に行っても。これはやはり凄いことです。まとめみたいな話になってきたけれど。

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